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【付箋×教育心理学】講義やゲストスピーカー時の感想意見交換する付箋ボードの設計

今記事の写真は読書会メンバーより拝借。 今回は教育心理学関係 勉強会/読書会 Advent Calendar 2017 - Adventarに参加したブログ記事となっています。

付箋ボード設計背景

イベントを開催するときに、少しインプットとして情報を渡したい場面がでてくる。 キャリアでいえばキャリアに関する知識だったり、ゲストスピーカーの話、パネルディスカッションなどが想定される。しかしどうしてもそういった時間は受け身になりがちだ。 参加者が手を動かしたり、対話する機会があるほうが自分ごとになったり思考する機会が増え学びにつながる。そう考えたとき、読書会のメンバーと企画した「教育心理学ミートアップ」というイベント内で「付箋ボード」というものを導入し、対話型に近づく意見交換の場を設計した。

付箋ボードは実際どういうものか

まずはアウトプットがどうなったかの紹介する 各セッションごとにスペースをわけ、色を分けることで賑やかな印象になり、どんなコメントかが一目でわかる(色の意味は後術に記載)。また盛り上がり度もわかる。 はじめのうちはスタッフが積極的に貼っていくことで貼りやすい雰囲気を作った。

どのようなルールを設けたか

色ごとに上記のようなルールを設けた。参加者にはあらかじめ付箋を各色ともに配布し、足りなかったらとっていってもらうスタイルとし、イベント開始後の趣旨説明後にこちらの内容を口頭でも説明することで主旨を理解してもらい参加を促した。

なぜこのような設計に至ったのか。設計元となった理論を紹介

本:三宅なほみ、芳雄先生の教育心理学概論にある「人が賢くなる仕組み」をヒントに設計しました。

「建設的」な方向とは自分の知っていること、分かっていることを他人の知っていること、他人が提供してくれる新しい情報と組み合わせて、つなげ、自分では作り出せない答えをだしたり、知識や理解の範囲を広くする。「自分の考えの適用範囲を広くする」方向である。

ひとりひとりが違っていてしかも互いの考えが「外から見える」仕掛けがあったほうがいい 「自分の考えてできるだけ言葉にしやすい」課題設定や状況設定ができるといい

本はこちら

上記をヒントに「発表者側」も「参加者側」もまずは言葉にする機会ができ、相手がどういったところに疑問をもったり感じたことが見える状態をつくりたかった。 付箋で気軽に思ったことを吐き出し、それがセッションごとに見えるかたちで貼られることによって参加者に伝わったのかがわかることや、参加者からのコメントが発表者に新たな発見を生むことにつながる。また参加者も発表者に届く形でコメントすることができ、何か感想やコメントを出すことを意識することによって発表者が考えていることを読み取ろうとする機会を作ることができる。またほかの参加者のコメントが互いに閲覧できることによって自分とは違う視点で聞いていたことに気づき、新たに違う疑問が浮かんだり、理解につながることを狙った。

やってみたうえでの振り返りと今後

リアルタイムで貼られていくことにより、場も温まるし発表者、イベント設計者側のモチベーションも上がった。また参加者、発表者が自然と付箋ボードの前に集まるようになるので、自然と会話も発生しやくなったようで立ち話がされる場面が多く見られた。 付箋に対して一部コメントを返す付箋も見られたが、付箋をみんなで眺める時間を少しだけ意図的につくって回答しあうようにすることでより活発に意見交換につながるように設計できたかもしれない。

最後に

一緒に設計を手伝ってくれた川鯉さんにこの場を借りて感謝を申し上げます。

当日参加いた方やこのブログをみてちょっとやってみたいなと思う方がいましたらぜひ使っていただけると幸いです。 この付箋ボードを使ったよという報告や工夫した点などありましたら メールやコメントなどでご連絡くださいませ。 そのほか問い合わせも含めて以下に気軽にご連絡ください。

全日本キャリア教育改善推進協会 代表 尾澤 愛実 carrer.update.org@gmail.com

[行動経済学×キャリア]現状を変えられないのはなぜか。

「今の仕事に違和感を持ちつつも現状を変えることが難しいのはなぜか。」

今回は行動経済学×キャリアをテーマに考えてみたいと思う。 嫌なら変えたらいいじゃんとアドバイスしてしまいがちだけど、相手にこんな心理があることを踏まえて話せたら投げる言葉も変わってくるのではと感じる。 一歩踏み出してみようと言葉で聞いたり発言を実際にしてみてもそれも動けないのは現状を変えたくないとお壊せる心理が働いているのかもしれない。 [本]人は勘定より感情で決める 〜直感のワナを味方に変える行動経済学7つのフレームワーク(柏木吉基著)の一部の章をご紹介し、キャリアの観点で考えた記事となります。

今回取り上げる概念は以下の3点。

  • サンクコスト(埋没コスト)
  • 現状維持バイヤス
  • スイッチコスト

1. サンクコスト(埋没コスト):過去に費やしたお金や時間など回収できないコスト

「今まで頑張ってきたのだから」「お金をたくさんかけてきたし」と過去に費やしたお金や時間に対して思ったことはないだろうか。

人には 「過去に費やした時間やお金といったコストを無駄にしたくない」 という感情が芽生えやすい。今までやってきた過去の積み上げである「現状」をなんとか維持したいと思いがちで、そのまま継続して行ってしまいやすい。このように将来の判断に影響されることをサイクコストのバイアスという。

キャリアで考えると国家資格とるために頑張ってきたけど実はその仕事嫌いだけど今まで頑張ってきたから無駄にしたくないという気持ちが強くて方向転換できないといった自分に対してだったり、 子供に対して親がつぎ込んだお金(と熱意)そして自分自身がそれに乗せられてつぎ込んだエネルギーと時間が膨大なサイクコストとなって、それ以外の人生を歩むことを頑固に拒んでしまう。一般的に成功であっても本人が幸せとは限らない状況が生まれたりする。 変えたいのに変えられない要因としてこういった気持ちが起きている可能性がある。

2.変わることが怖い、現状維持バイヤス

  • 非合理的にも関わらず現状を維持する選択をすること
  • 人は先が見えずに何かを失う可能性がある不確実な選択をするよりも現状維持したい意欲が高まる
  • 得るものは不確実ではあっても、失うものが事前に明確なときには、マイナスの感情がはっきり実感されることによってこの意識はさらに高くなる。
  • 現状を変えることにより得られるかもしれない利益に気づいていても、失うもののほうが大きいと感じていれば、「現状維持」思考から抜け出すことはできない

もしかしたら失うかもしれないというリスクのほうがひとは気になりやすく、もしかしたら得られるかもしれない可能性のほうを軽視しすぎてしまいます。転職して今より満足できる環境がえられるかもしれないのに、いった先でいまよりうまくいかなかったらどうしよう。だったら今のままのほうがいいと考えがちなのです。

3.スイッチングコスト

  • ブランドを替えることにより発生するコスト
  • 自動車や携帯電話などの耐久消費財は一度購入されると比較的長い期間所有される
  • 変更するまでに発生する手間などのコスト
  • なれるまでに使い勝手やひこうりつなそうさを経験しなければならないし、場合によっては満足しないかもしれない。 これらによって
  • 正しい価値を評価できない
  • 重要な別の機会をみすみす失ってしまう

例えば今の会社から転職するとか、起業するといった環境変化は移るための努力、準備もそれなりにコストがかかるし、うつってから慣れるまでにも時間はかかる。 そういうのを考えると行動することに億劫になってしまう。。。

あなたはいま現状を変えられない要因はサイクコストですか?現状維持バイヤスですか?それともスイッチングコストですか?

今回の理論が紹介されている本はこちら。各概念の説明はこちらの本を参考に記載させていただいております。参考文献となります。 本:

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全日本キャリア教育改善推進協会

carrier.update.org@gmail.com